アメリカ America 2004 10 15
アメリカは、軍事産業を除けば、
いつの間にか、工業国家を止めて、消費国家になったと言えます。
だから、工業的な業績は期待できないでしょう。
これは、日本人から見れば、大変なことだと思うでしょうが、
アメリカにとっては、消費国家でも問題ないのです。
ドルが基軸通貨である限り、理論的には、いくらでも借金ができます。
ただ、この基軸通貨が、ユーロの出現によって揺らいでいるのです。
ドルが基軸通貨でなくなると、消費国家は続けられません。
だから、ドルが基軸通貨であり続けるための演出をしなければならないのです。
対テロ戦争は、そのための演出かもしれません。
おそらく、ユーロの出現が、アメリカを追いつめたとも言えます。
私は、初めて、ユーロ紙幣のデザインを見た時、
「狙いは、基軸通貨にあるのではないか」と思ったものです。
それに比べて、日本の紙幣のデザインは、あまりにもローカルです。
それは、日本の通貨当局に、国際感覚がないからです。
石油と基軸通貨 oil and key currency 2004 10 7
イラク戦争は、石油と基軸通貨をめぐる戦いだったと思います。
アメリカでは、いまだに大量破壊兵器のことが問題になっていますが、
これは、意味のないことです。
本来の目的は、石油資源の確保にありました。
しかし、昔と違って、石油資源の確保では、戦争の理由にはなりませんので、
他の理由を考える必要があったのです。
そこで、最初の理由として考えたのが、サダム・フセインとアルカイダの関係でした。
しかし、これは、明白な証拠が見つからなかったので、
新たな理由を探す必要があったのです。
そこで、大量破壊兵器の問題を持ち出してきたのです。
なぜ、こうも石油資源の確保を急ぐ必要があったのか。
これは、サダム・フセイン政権下のイラクに対して、経済制裁が行われていたはずですが、
この経済制裁を守っていた国は、アメリカとイギリスぐらいだったでしょう。
他の大国は、サダム・フセインと取引をして、石油利権を確保しつつあったのです。
だから、こうした石油利権の確保に、アメリカとイギリスは、出遅れたとも言えます。
こうした「出遅れ」をばん回する必要があったのです。
また、その他に、石油資源の確保を急ぐ必要として、
過度のサウジアラビア依存を避けたいという考えもあったでしょうし、
アメリカ人の石油の無駄遣いも、必要に迫られる原因にもなったでしょう。
さらに、アメリカ国内の石油資源が、あと何年ぐらいあるかという問題もあります。
アメリカ国内において、石油資源の枯渇の問題があるのです。
次に、基軸通貨の問題です。
アメリカが、巨額の「双子の赤字」を続けられるのは、
ドルが基軸通貨だからです。
基軸通貨としてのドルの地位が揺らいでしまうと、アメリカは終わりです。
サダム・フセインは、石油の決済通貨をユーロにしようと考えていました。
サダム・フセインの狙いは、戦争ではなく、基軸通貨だったと思います。
軍事力では、絶対にアメリカには勝てませんので、
基軸通貨を、戦いの場に選んだとも言えます。
さて、こうしてみると、アメリカの斜陽化が、よくわかると思います。
あと何年かすれば、誰の目にも、アメリカの斜陽化が見えるようになるでしょう。
2004年9月15日号のニューズウィークには、このような記事があります。
「原油高の真犯人は、サウジではなく、SUV車」
「不安定な中東情勢や中国の需要増以上に、
原油価格を押し上げている最大の原因は、アメリカ人の無駄遣いだ。」
「経済が回復したから、石油の消費量も増えたのか。」
「いや、アメリカの道路を走る自動車の燃費効率が、
この20年で大幅に悪化したからだ。」
「その元凶が、SUV(スポーツユーティリティー車)だ。」
「90年には、アメリカ人の保有する車の5%にすぎなかったSUVが、今は55%を占めている。」
「ばかげた法律のせいで、SUVはトラックに分類されるため、
乗用車に適用される省エネ基準を満たさなくていい。」